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小さな手、小さな声、大きな未来 ― ドングリの森から

「おみず、たっぷりあげるんだよ」

ちいさな手が、一生懸命にジョウロを傾けた。

4月24日、あさぎり町の畑に、未来をつなぐ一滴一滴がこぼれ落ちる。


南陵高校農業環境コースの3年生17人。

彼らは、地元の摩耶幼稚園の園児たちと一緒に、ドングリから育てた苗木を植えるために集まった。


「ここに、どんな森ができるのかなぁ」

幼い声が、風に揺れる。

「リスさんのおうちになるんだよ!」

「じゃあ、ぼくカブトムシさがす!」


笑い声が土の上をころがる中、

高校生たちは、そんな園児たちの小さな希望を、静かに胸に刻んでいた。


——この苗木は、ただの木じゃない。

——未来の誰かを守る、いのちのバトンだ。


2020年の豪雨で見た、濁流にのまれたふるさとの風景。

あの日、何もできなかった悔しさが、今、生きた行動になっている。


「大丈夫。この小さな手が、未来を変えるんだ。」

心の中で、そっとつぶやく。


苗木の土に手をかける園児の横で、高校生たちはやさしく声をかけた。

「ぎゅってしてあげてね。木がよろこぶよ。」


園児たちは、にっこりと笑った。

空には、どこまでも澄んだ春の光。


「一歩一歩しか進めないかもしれない。

でも、この一歩が、誰かの明日を守るかもしれない。」

そんな確かな想いを胸に、

今日、また一つ、命の森への種がまかれた。




 
 
 

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